死産の赤ちゃんでもしてあげれることはたくさんある! ◆おうち編②◆
これは、私が妊娠37週4日で常位胎盤早期剥離になり、赤ちゃんを死産したお話です。
発症から入院・出産・退院までの経過をまだ読んでない方は、こちらを読んでからお進みください。
息子にしてあげたこと
4人で川の字になって寝よう
息子が生まれたら、4人で川の字になって寝るのが夢でした。
長時間は保冷の関係もあって難しいけど、最後の日の夜だけは、保冷剤をベッドに敷いてみんなで川の字で寝ました。
横顔もしっかり胸に刻んで。
おっぱいをあげてみよう
お仏壇にはお水の代わりにミルクを毎日入れてあげていたのですが、やっぱりこの子にもおっぱいをくわえさせてあげたい。
おっぱいが分泌するのを抑制する薬を病院で飲んでいたので、息子がいる間におっぱいを実際にお口に入れてあげることはできなかったのですが、くわえるだけならできました。
お口を開けてあげてくわえさせると、本当に飲んでるみたい。
お口の中はまだ乾燥してなかったこともあって、息子の唾液がおっぱいに付いて湿ったことも嬉しかった。
息子が旅立ったあと、おっぱいが張って絞らないと痛いぐらいにまでなってしまったので、こんなことならおっぱいを止める薬、飲まなきゃよかったなぁと、少し心残りです。
少しでもおっぱいをふくませてあげたかった。
一緒にお風呂に入ろう
沐浴は病院でもしてあげたのですが、沐浴の時期を過ぎたら一緒にお風呂に入りたかったと言う夫。
あんまり温まるのは怖かったので、36℃でお風呂を沸かし、お湯につかるのも1分程だけにして、夫とお風呂に入ってもらいました。
36℃でも怖いと言う夫は、さらに水を足して温水プール並みの温度にしてましたが。
大きなお風呂でたまに口を開けながら入る姿はとっても気持ちよさそうでした。
お膝に乗せて体も洗ってあげて、沐浴とはまた違う良さを夫も感じられたようです。
娘と背比べをしよう
こんなに大きさが違うんだよって写真を残したかったので、2人で横に並んで寝てもらいました。
娘は息子よりも小さく生まれたのですが、息子の倍ぐらいの大きさになってて、娘の成長も感じられる姉弟写真になりました。
立体の手形と足形を取ろう
私が息子を死産したことを知ったお隣さんが、息子が旅立つ前にと、手形足形キットをプレゼントしてくれました。
唯一家族以外で息子のお顔を見に来てもらったご家族です。
いつも良くしてくれて、妊娠中も出会うたびにいろんな話を聞いてくれてました。
ご夫婦共に一緒に泣いてくれて、私達の気持ちを全部聞いてくれて、私達も誰かに話せたことで気持ちの整理ができた部分もあり、本当にありがたく、温かい気持ちになりました。
病院では平面の手形と足形を取ってくれてましたが、立体の方が大きさとかリアルだよってプレゼントしてくれて、今でも本当に取っておいてよかったと思う物になっています。
写真と生まれた時の時間や身長・体重などの記録と一緒に、その手形足形を額に入れてリビングで大切に飾らせてもらっています。
旅立ちのお布団セットをかわいくしよう
真っ白なお布団が棺にセットされていましたが、何だか殺風景。
息子のためにスタイやガーゼハンカチを手作りしたいと思って、生地は買ってありましたが、何にも作れていませんでした。
このままだと悔いが残ると思ったので、その生地で布団カバーと枕カバーを作ることに。
いろんな組み合わせを考えて夫と相談し、枕は星柄、布団カバーはミルク瓶柄に。
お星様になって、私達家族を見守っててね。
お腹すいて泣いてたらかわいそうだから、ミルク瓶持たせてあげるからね。
そんな意味を込めて。
赤ちゃんらしい、温かみのある棺になりました。
お手紙を書こう
棺に入れてあげる家族写真と一緒に、お手紙も入れることに。
短い文章だけど、後悔の言葉はできるだけ使わないで、ありがとうの気持ちと大好きをたくさん込めて。
娘には息子の似顔絵を描いてもらいました。
写真と手紙を棺の蓋の裏側に貼って、1人でお空へ行くのが少しでもさみしくないようにしました。
お散歩しよう
息子が生まれた日はよく晴れた暑い日でしたが、その翌日から私達が泣いているのと同じように、息子も泣いているのか、毎日毎日雨でした。
旅立ちの日の朝、一緒にお散歩したいという気持ちがどうしてもあり、早朝6時にみんなで傘をさしてお散歩することに。
息子の顔色はだいぶ明るくなっていましたが、周りの目も気になるので、人通りの少ない早朝にしました。
秋でまだ太陽が上がるのも冬ほど遅くなかったので、明るくてよかったです。
息子と娘と家族4人での最初で最後のお散歩。
大きくなったら4人で手をつないで歩くのが夢でした。
それは叶えられませんでしたが、抱っこでも4人でお散歩できたことは一生忘れません。
後悔のない旅立ちを
赤ちゃんを死産・流産した場合、その週数や火葬までの時間にもよって、できることやできないことがどうしてもあります。
私の場合、息子は臨月に入ってからのことだったため、元気に生まれてくる赤ちゃんと大きさもほとんど変わりなく、ベビー服もぶかぶかにはならずに着せてあげられたし、たくさんのことを一緒にできました。
火葬までの時間も、生まれた日を含めて7日間、葬儀屋さんには無理を言ってとらせてもらったので、やりたかったことは思いつく限り全てできました。
でも、親からは早くお空に返してあげた方がいいんじゃないか、時間と共に体が傷んでしまうのはかわいそう、など色々と言われました。
死者と写真を撮るのは良くない、自分の命も持っていかれる、という考えもあるようです。
また、忘れられなくなるから赤ちゃんに会わない方がいいと言われる場合もあったり、ママの体調関係なしに、入院中に火葬も終わってしまう、ということもあるようです。
私は今回帝王切開にならなかったこともあって、たった3日間の入院で済み、体への負担も少なかったため、退院後もまだ余力がありました。
その方によって、やりたかったけどどうしてもできなかった、ということもたくさんあると思います。
でも、もしも自分で選べる状況にあるのなら、絶対に赤ちゃんに会うことをオススメしますし、葬儀屋さんや親を説得して、できるだけ一緒に時間を過ごしてほしいと私は思います。
喪失感や絶望感、後悔、自責の念、悲しみ、苦しみ、怒り、いろんな感情でいっぱいになりますが、お腹の中で大切に大切に育ててきた子と向き合うと、愛しさでその負の気持ちも少しは隠れてくれます。
いろんな考え方がありますが、私は自分が前に進むためにも、赤ちゃんとしっかり向き合ってよかったと思っています。
2017年の秋に放送されたコウノドリでも、第5話で篠原ゆき子さん演じる妊婦さんが、子宮内胎児死亡で赤ちゃんを死産されるシーンがありました。
早剥ではありませんでしたが、普通分娩だったことも含め、私の状況とかなり似通っていました。
出産シーンは、自分を見ているかのようで号泣でしたし、同じ経験をした直後の私が見ても全く違和感を感じないほど、本当にリアルに描かれていました。
その篠原さん演じる妊婦さんも、退院後おうちに赤ちゃんを連れて帰ってあげていましたし、ケーキを作ってあげたりしていました。
もしも選べる状況にあるのなら、病院側は一緒に過ごせる時間をもつことを提案できるのが主流になってほしいなと思います。
流産であれ死産であれ、後悔はいつまでもくっついてきます。
認知症のおばあさんが昔の記憶に戻って、赤ちゃんを流産した時の話をしてくれることもあるぐらいです。
昔は早く忘れなさい、と言われるのが主流だったようなので、悲しい気持ちを押し殺して毎日過ごしていたのかな、と想像してしまいます。
旅立ちの日までの時間をどのように過ごすかで、少しは前を向けるような気がします。
もし同じ苦しみを味わった方が読んでくださっているのなら、少しでも赤ちゃんと向き合い、後悔のない旅立ちにしてほしいと思います。