死産後の手続きなどあれこれ
これは、私が妊娠37週4日で常位胎盤早期剥離になり、赤ちゃんを死産した後のお話です。
死産という現実と向き合うのは苦しかったのですが、赤ちゃんを送り出す準備もすぐに進めなければなりません。
出産の翌日、助産師さんが死産後のことについて、教えてくださいました。
死産のケースも受け入れることが多いためか、その後の流れをまとめた用紙を渡してくれました。
口頭で聞いても覚えていられる精神状態ではなかったので、こういう準備がされていることはとても助かりました。
病院からの死産後の案内
- 特に葬儀屋さんが決まってなければ、病院から紹介することもできる。
- 埋葬の手続きなどは病院で行うことはできないので、葬儀屋さんにやってもらうか、自分たちで行わなければならない。
- 自分たちで埋葬の手続きをする場合は、市役所へ死産の届出をする前に、埋葬する斎場と日時を予約し、病院に報告する。
- 病院からもらう死産届に必要事項を記入して市役所に提出し、埋葬許可証をもらう。
- 葬儀屋さんに埋葬の手続きや移動を全面的に依頼する場合は、埋葬許可証がなくても構わない。
- 亡くなった人を病院外に出すには、棺または箱に入れなければならない。赤ちゃんであろうと、抱っこで出てはいけない。
ということでした。
いわゆる喪主と呼ばれる役割をすること自体、夫も私も初めての経験なので、わからないことだらけです。
亡くなった方の移動に霊柩車が使用されるのはそういうルールがあるからだということも、この時に初めて知りました。
葬儀屋さんとの相談内容
義父がもしもの時にご贔屓にしている葬儀屋さんに連絡してくれ、頭もボーっとする中、夫と私も話を聞かせてもらいました。
- 赤ちゃん用の棺は常に用意があるわけではないが、翌日の退院までには必ず手配し持っていく。
- 葬儀屋の方で市役所関連の手続きをすることもできるが、どうしたいか。
- 葬儀をどのような形で執り行うか。
- できるだけ希望に添えるようにするので、何でも言ってください。
私たちの心情を察し、とても親身に聞いてくださいました。
私たちの希望
- 息子にとって退院して家に帰ることは、初めてのお外であり、初めてのドライブなので、マイカーで移動したい。
→OK
ただ、棺に入れてないといけないので、外の景色を見せたりはできない。
葬儀屋さんの車とマイカーの2台で移動することにしました。
- 市役所関連の手続きも、全て自分たちでやってあげたい。でも全くわからないため、一緒に付いてきてほしい。
→OK
まず市役所に死産届を提出しに行き、その後埋葬許可証を持って斎場で火葬の手続きをする。
その後赤ちゃんを迎えに行き、病院へ埋葬許可証のコピーを提示する。
👨💼「全部教えながら進めるので、何でも言ってください」
- 葬儀は自宅で家族のみで行いたい。お通夜はしなくていいが、お経はあげてもらいたい。
→OK
葬儀屋さんからお寺へ日取りの確認をしてくれることに。
細かい内容に関しては直接夫が住職と相談して、希望を伝えることになりました。
- あまり日にちを延ばすのは良くないとわかってはいるが、できるだけ一緒にいたい。保管について、どうしたらいいか教えてほしい。
→OK
希望の日にちを言ってくれたら、できるだけ合わせる。
保管については、真夏ではないためドライアイスの交換を1日おきにすれば可。
赤ちゃんは皮膚が弱いため、冷やしすぎると余計に皮膚が傷んだり色が変わることもあるので、ずっと棺に入れて冷やしておかないといけないこともない。
やりたいことは全部やってあげる方が赤ちゃんも喜ぶので、たくさん抱っこしてもいいし、あまり厳密に保冷のことを考えなくてもいい。
産後の体の回復のこともあったので、出産から7日後に埋葬することにさせてもらいました。
- 赤ちゃんの場合、どの程度遺骨が残るのか教えてほしい。
→赤ちゃんの骨は小さいので、火葬の窯が熱くなっている2番目以降になると温度が高くなるスピードも速く、骨が残りにくい。
朝1番の火葬なら窯が冷えている状態で始まるので、2番目以降よりは残りやすいと思う。
順番も、まだ日にちがたくさんあるので選べるだろう。
朝1番の火葬でお願いしました。
- おもちゃや手紙を棺に入れてあげたい。
→OK
斎場の人にはあまりおもちゃを入れないでと言われるかもしれないが、気にしないで入れたい物を入れて良い。
- 布団を作ってあげたいが、棺に付いているのか?付いているなら、それを加工してもいいのか?
→棺には布団と枕がついているので、加工しても構わない。
布団カバーと枕カバーを作ってあげることにしました。
全て私たちの希望を聞いてくださり、不安だった部分も解消してくれました。
死産後の手続き
死産届
出産の翌日、助産師さんより死産届をもらいました。
私たちが左側に必要事項を記入してから、右側に先生が内容を記入してくれる、という流れです。
私たちが書く内容は、名前や住所、生年月日などの基本的な項目のみです。
夫と私、それぞれ記入しました。
先生が記入してくれたのは、
- 赤ちゃんの生まれた日時
- 妊娠週数
- 性別
- 身長・体重
- 胎児死亡のタイミング(分娩前・中)
- 自然死産か人工中絶か
- 死産の理由(胎児の原因か母の原因か)
などです。
なぜ常位胎盤早期剥離になったのかを調べるために、赤ちゃんを解剖することもできるがどうしたいか、と先生に聞かれていましたが、苦しんで生まれてきたのに、これ以上かわいそうな想いをさせたくなかったので断りました。
なので、赤ちゃんに原因があったかは正確にはわかりませんが、早剥の場合のほとんどは赤ちゃんに原因はないそうです。
死産の理由には、母側の原因しか書かれていませんでした。
息子は何にも悪くないのに、私のせいで…という想いを改めて突きつけられる書類でした。
そんな書類でも、息子に関する数少ない公式書類だから、と葬儀屋さんがコピーして保管しておくことを勧めてくださいました。
自分たちだけではそこまで気が回らなかったので、提出する前にコピーできてよかったです。
死産届の提出、埋葬許可証の受取
息子を病院に預け、夫と私と葬儀屋さんで死産届を市役所へ提出しに行きました。
提出場所は、戸籍に関することを扱う窓口で、出生届も取り扱う場所です。
本当なら出生届を提出するはずだったのに…。
出産後に死亡した場合なら戸籍に載せることもできるのですが、出産前にお腹の中で死亡した場合、戸籍に残すことはできないそうです。
お名前も決めてたけど、公式の書類として、息子の名前を残すことはできないのはつらかった。
埋葬許可証にも、息子の名前を書く欄はありません。
事前に葬儀屋さんが予約してくれていた斎場名と死産届を元に埋葬許可証が作成され、手渡されました。
埋葬許可証の提出
病院に埋葬許可証を見せないといけないのでコピーを取り、斎場へ向かいました。
埋葬許可証を受付に提出し、火葬費用を払いました。
相場がいくらなのかはわかりませんが、私たちが選んだ市立の斎場ではたった2,000円でした。
あまりの安さにビックリです。
あっけないなぁ〜とさえ感じました。
息子をお迎えに
市役所、斎場での手続きを終え、ようやく息子をお迎えに。
埋葬許可証を見せると、助産師さんが息子を連れてきてくれました。
息子は棺に入れられ、手を組んでもらい、キレイにお布団をかけてもらってました。
自分たちでも手を組ませてみたりしてたのですが、赤ちゃんだからなのか死後硬直というものを私は感じられず、うまく組むことが難しかったので、さすが助産師さんだなぁと感じました。
葬儀の打ち合わせ
葬儀屋さんの車とマイカーの2台で家へ向かい、家で葬儀屋さんからその後の流れについて聞きました。
- 火葬の前日にお寺の住職に来てもらい、家で葬儀を行う。
→日にちは葬儀屋さんから住職に連絡して押さえてくれていたので、時間と参加人数をこちらから連絡しました。
- 住職へのお布施の封筒は、「御布施」「御車代」「御膳料」の3枚が必要。葬儀屋さんで手配できる。
→封筒の用意は葬儀屋さんにお願いしました。それぞれの金額は義父と相談し、義父の言う通りに包みました。
- 住職に出すお茶菓子などは、自分たちで用意する。
→近くの和菓子屋さんで購入し、義母が用意してくれたお茶菓子用のお皿に乗せてお渡しすることに。
- お花は葬儀屋さんでも手配できるが、割高なため自分たちで用意してもいい。赤ちゃんの棺に乗せて一緒に火葬されるため、花束のような形で良い。
→葬儀屋さんで頼むと1万円からになるとのことで、近くのお花屋さんに頼むことに。
電話で赤ちゃんの葬儀に使うこと、男の子だったこと、かわいらしいイメージで白をベースに作ってほしいこと、予算を伝えてお願いしました。
翌日夫に取りに行ってもらいましたが、白と淡い水色、薄い黄色の組み合わせで、息子のイメージにピッタリな花束を作ってくれていました。
- 葬儀後、火葬後の食事はどうするのか。葬儀屋さんで手配することもできる。
→パンフレットを見せてもらいましたが、最近は絶対に精進料理ということもないようで、お肉やお魚が入っている物の方が多かったです。
義父母に精進料理にこだわるか聞いたところ、今はそうゆう流れなら気にしなくていいとのことでした。
精進料理でなくていいなら、お店で食べるなり、出前を取るなりすればいいので、自分たちで用意することにしました。
最後に葬儀費用の説明を受け、見積書をもらい、葬儀後に現金でお支払いしました。
とても親切で、私たちの想いをたくさん組み込んでくれた葬儀屋さん。
今まで葬儀屋さんとお話したこともなかったので、勝手なイメージを持っていましたが、とてもいい職業だなぁと感じました。
人の最期の時を、どのように送り出すか。
最期にしてあげたいことはどんなことなのか。
それを巧みに聞き取り、叶えられるように最善を尽くす。
終活としてエンディングノートに自分がどうしてほしいかを記録しておくこともできるような時代ですが、私たち30代にとってはまだ先のことで考えたこともありませんでした。
親も祖母もまだまだ元気ですし、祖父が亡くなった時もまだ学生で何も考えてない頃でした。
人の最期の時を一緒に寄り添い、その人らしい送り方を提案する、とてもやりがいのある温かいお仕事です。
担当してくださった方には本当に感謝です。
あと1つ、葬儀のことを書いたら、この死産に関する記事も最後になります。
私の第3子の出産の予定も決まりました。
あと少しの一心同体の時間。
1番常位胎盤早期剥離になるリスクの高い時。
このまま何もなく、無事に入院の日を迎えられることを信じて、息子に毎日無事に生まれてこれるようお願いし、入院の日を待とうと思います。
私たちにとって、神様や仏様より1番にお願いするのは息子です。
きっと息子が支えてくれるはず。
大丈夫と信じて、あと少しのこの胎動を感じていたいと思います。