どんな余生にしたいのか?高齢者施設で働く私が思うこと
今日は私が仕事をしていていつも思うことをちょっと。
私は高齢者に携わる仕事をしています。
私の働く職場は、わりとお金持ちの方が入られる施設。
いろんな方が入居されますが、お金がたくさんあって、家族にも本当に大切にしてもらってる方もいれば、お金があっても家族に嫌われていて会いに来てもらえないという方も。
認知症の有無で、在宅介護をされていて嫌な思いをしたというご家族ももちろんいらっしゃいます。
でも、認知症の有無関係なく、ただただ性格が…という方もいて、家族と疎遠になっている場合も。
今までの家族に対する態度や、意見が合わなかった時の対応がずっと尾を引いてる場合もあるんでしょうね。
お金があって幸せな余生を暮らしている人もいれば、お金はあるけど家族に見放されてる人もいる。
偉そうにしてる人には、私達職員もあまり親身になれなかったり、その方をとにかく良くしてあげたいと思って行動しても、自分の意見を曲げられない人には、もうそのまま好きなようにしてもらうしかないか、と諦めることもあります。
私達が良くしてあげたいと思うことを柔軟に聞いてくださる方には、それなりの効果が得られて、今の生活の質が維持または向上していく。
こちらがどれだけ頑張っても、やはり高齢ですからみんながみんな維持できるわけでもありませんが、できるだけ今の状態を保てる時間が長くなるよう働きかけをしています。
あるお尻が痛い人の話。
たくさん今までお金を稼いで貯めてきた人なのに、安い量販店のクッションに座り、お尻に傷ができて痛いと言う。
提案したクッションは高い!(確かに2万ぐらいするから高いけど)と言って買おうとせず、ネットで自分なりに探して買ったものの、やっぱり痛い、このクッションはダメだと不平不満を言い、毎日毎日あらゆる職員にお尻が痛いと何分も職員の手を止めて言い続ける人がいる。
いつもスーパーで買う商品の値段を広告で毎回チェックしてリスト化し、相場の把握までしながら安いところへ買いに行ってたと笑顔で話す、節約も極めて貯金してきたタイプの方だから、2万もするクッションは高いと思うのは当然なんだけど。
福祉用具のカタログに載る商品は、価格競争をもっとしてほしいと思うぐらい高い物が多いのも事実です。
基本的にはレンタルすることを前提にされていることもあり、レンタルだと1割負担でいいから、高めの設定にされているという事情もあると思います。
しかしクッションやトイレ、入浴用の商品は直に体に触れるため、また消耗品であるため、購入しか選択肢はありませんから、もうちょっとメーカーも頑張ってほしいのですが。
話が逸れました。
お昼寝もせずずっと座ってる方なので、もう少しお尻に圧がかかる時間を減らすようお昼寝をしたら、と他の改善策を提案しても聞いてもらえず、ドクターにもこんなクッションを買ったらと言われたから提案したのに高いと言われて、毎日痛いことを何分も聞かせられる職員の気持ちにもなってほしい。
他にもたくさんの入居者がいて、あなただけにそんなに時間はかけられない。
ずっとお尻痛くていいの?
たくさんお金貯めてきたんだから、安物買いの銭失いをしないで、たった1回2万円のお買い物をして、少しでも快適に余生を過ごせるためにお金を使ったらどうなんだろう?
もう90歳を過ぎてて、お身体の状態的にも旅行に行ったりでたくさんお金を使うことはできないんだから、自分のために使ったらいいのに。
何のためにお金を貯めるのか、とても考えさせてもらえたいい事案でした。
お金は貯めるだけじゃダメ。
どう使うかだ。
何のためにお金を貯めて、何のために使うのか。
大切な人生という時間を快適に過ごすために、お金で解決できることなら気持ちよくお金を払える、そんな人でありたいと思いました。
施設選びもいろんな考え方がありますが、全部込み込みで料金が高い施設と、家賃が基本料金で、後は全部加点方式だから初期設定が安い施設とがあります。
元気なうちは後者の施設の方が自由度も高くていい。
あまり他者と関わらずにマイペースに暮らしたい人にも後者の方がいいと言えます。
だけど認知症が出てきたり、生活に手を借りなければいけなくなった時には、前者の方がいい。
常日頃から職員との距離が近いので、ちょっとしたことでも頼みやすいし、話し相手にもなってもらいやすく、より親身になって今できてることを維持するような働きかけをしてくれるからですね。
その時の心身の状態によって、看護師さんの常駐時間なども十分な施設に入れるお金は貯めておけたらいいですね。
老後の中でも、ライフステージは分かれます。
- 退職後の元気で何でもできる期間
- 病気で通院が必要な期間
- 人の手を借りなければ生活ができなくなる期間
そのステージによってお金の使い方、お金に対する価値観も柔軟に変えていくことが望まれます。
元気な期間はたくさん旅行に行ったり、趣味や自分の好きなことにお金をかける。
通院が必要な期間は医師の指示に従って、無理のない程度に元気な時の生活スタイルや趣味を続け、筋力が落ちないよう運動をして、自分が楽できることにお金を使う。
人の手を借りなければいけなくなったら、自分がより安全に快適に暮らせることに対してお金を使う。
1番身体を労らなければいけないステージに入っているので、自分自身にお金をかけることが必要ですね。
できるだけ元気な期間が長くなるよう、健康寿命の高齢化に努めましょう。
そして若い頃から家族を大切に。