常位胎盤早期剥離
前回の記事を読んでない方は、こちらを読んでから先に進んでください。
痛みが出てから4時間後 ようやく病院に到着
やっとの思いで車に乗り込み、病院へ。
車の中でもお腹はカチンコチンで痛みが強く、しっかり座ることもできません。
イスを倒してできるだけ横になって移動しました。
病院へ着くと外来の時間外だったため2階へ案内され、必死で歩いて診察台へ。
助産師さんがお腹にエコーを当てるのですが、なかなか赤ちゃんの心音が聞こえてきません。
この人めっちゃ下手くそ。
失礼ながらも私は、激痛のあまりそう思っていました。
他の助産師さんが先生を呼びに行き、よく診てくれていた女医さんが登場。
やっと赤ちゃんの心音が聞ける。
そう思っていましたが、先生に代わっても心音は聞こえてきません。
超音波も、いつもと違うような画像に見えます。
👩⚕️「早剥!」
先生が一言そう言い、すぐに夫を呼ぶように指示していました。
そうはく?
何?
何が起きてるの???
そうはくって、もしかして常位胎盤早期剥離のこと???
でも、怖くて聞けません。
一緒に来たはずの夫はなかなか入ってきません。
後で聞いた話、助産師さん達も焦りすぎていたのか、夫が一緒に来ていることをすっかり忘れ、夫に電話を掛けていたらしい。
しばらくすると夫も入ってきて、先生が深刻な顔で話し始めました。
常位胎盤早期剥離
その時の先生の言葉、気が動転していたので明確には覚えていません。
まずこの2つのことを夫と共に聞きました。
- 赤ちゃんの心拍が確認できない。
- 赤ちゃんはもうお腹の中で死んでしまっている。
先生も私たちが理解できるように、ゆっくりと話してくださいました。
え?
もう心臓が動いてない?
確かに言われてみれば胎動も感じない。
11時頃にトイレに行った後に動いたのを感じたっきり、胎動を感じていませんでした。
でもウソでしょ?
しばらく言葉が出ませんでした。
悪い冗談でしょ?
朝まではお腹も痛くなかったし、いつも通りの朝だったよ?
そんな急に心臓が動いてないってある?
👩「今すぐお腹切ったら助からないんですか?」
先生も黙ったまま、首を横に振ります。
心なしか先生も涙ぐんでいました。
それを見て、これは現実なんだ、と理解しました。
頭の中で状況を理解するものの、信じられない気持ちでいっぱいで、涙が止まりませんでした。
夫も私の手を握り締めながら泣いています。
息子が生きれるわずかな希望すらない。
残酷すぎでした。
ある程度私たちが息子の死を理解できたところで、先生は原因を説明してくださいました。
胎盤とへその緒は赤ちゃんの生命線です。
通常胎盤は赤ちゃんが生まれた後に自然と剥がれ、その役目を終えて子宮から排出されます。
その胎盤が赤ちゃんが生まれる前に子宮から剥がれて、子宮の中で宙ぶらりんになってしまうと、胎盤はその機能を失い、赤ちゃんに血液を届けることができず、赤ちゃんが亡くなってしまうそうです。
何で?
何で急にそんなことに?
スーパーで買い物してその荷物を持ったから?
お腹ぶつけた記憶もないよ?
どうして???
👩「私がもっと早く病院に来てたら助けてもらえてたんですよね?」
陣痛やと思い込んで、どうせまだ入院させてもらえないとか思って病院行かなかったからや。
途中で痛みに絶え間がないことに気づいたのに、何で救急車呼ばんかったんやろう。
最低や。
この子を殺してしまったのはあたしや。
あたしにしか異常事態やってわからんかったのに、何で気づいてあげれんかったんやろう。
でも、先生は首を横に振りました。
👩⚕️「お母さんは悪くない。誰も悪くない。そう思う気持ちはわかります。でも、誰のせいでもないから。お母さんもお父さんも自分を責めたらダメ」
確かそんなことを言われたような気がします。
でも、そんな風に言ってくれても、私が息子を殺してしまった、という気持ちは拭えませんでした。
息子を守れなかった最低最悪の母親です。
先生は少し待ってくれたあと、こう続けて言いました。
- このままではお母さんの命も危ない。
- 胎盤が剥がれて、子宮の中にたくさん出血している。
- 赤ちゃんを産んで出血を止めないといけない。
- 今から大学病院に救急車で行きます。
そう話すと、先生は急いで搬送先の病院へ連絡し、救急車を呼ぶ手続きを始めました。
私の命も危ない?
だったら私も息子のところに一緒に行きたい。
1人で息子だけ行かせるなんて、さみしすぎる。
かわいそうや。
こんな最低な母親やけど、一緒にいてあげれるんなら、そう一瞬思いました。
でも、すぐに娘の顔が浮かんできました。
私まで死んでしまったら、娘はどうなるの?
夫と娘、2人が残されたらどうなる?
私まで死ぬわけにはいかない。
ごめん、一緒に行けないや。
息子と夫にごめんね、ごめんね、と謝り続け、夫も自分が早く仕事を切り上げて帰らなかったことを悔やみ、息子と私に謝ってました。
その間に、私には点滴がつながれ、バルーン(排尿管)も挿入され、搬送の準備がされていました。
遠くから救急車のサイレンが聞こえてきて、ピタっと止まりました。
救急隊員が上がってきて、ストレッチャーを持っています。
あぁ、テレビでよく見るやつ。
👨🏭「こっちに移れますか?」
1、2の3で移してくれないのね、と思いながら、必死でストレッチャーの方に移ろうとしますが、お腹が痛すぎて横を向くこともお尻をあげることも簡単にはできません。
動けない私を見て、救急隊員や助産師さんも手伝ってくれました。
そうして救急車で大学病院に運ばれました。
クリニックの先生も着いてきてくれて、私の手を握っていてくれました。
外はわりと暑い日だったのに寒気がして、たくさん毛布をかけてもらい、バイタルを何度も計られる内に、病院へと到着しました。
つづく。。。
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↓常位胎盤早期剥離について、こちらに詳しく書かれていますので、ご参照ください。